4月21日不思議な金曜日

 4月21日木曜日、

 初夏のやわらかな風にレースのカーテンが踊る部屋で、久しぶりに会う初恋の彼女、皮のソファに座っているオイラの左横に座って、左腕に彼女の右腕があたって、体温を感じる。恥ずかしいからオイラは少し右によるけれど、彼女はくっついてくる。「ああ、この人も歳を重ねて来たんだなぁ。桃のようにピチピチしてたのに・・・」と昔だったら、すぐ言葉に出して顰蹙を買うようなオイラだったけど、今は思っても言葉には出さない。だから、無口になった。とくに話したいことは無くて、左腕に体温を感じても、半身になって正面から彼女を見る勇気は無く。頭の中では、家に帰ったら、においに敏感な女房殿が、きっと「何かニオう!」って、感づいて、言い訳やその後のしんどさを考える。何より、背徳感が自分を苦しめるだろうと思う。そして、また少し右に体をずらした。「私のこと、キライ?」って、オイラの目を見て言う彼女。無言で首を横に振る。しかし、体の芯から湧き上がるモノもなく、吐き出したい欲望もない。ただ、失礼があってはいけないし、キレイな思い出だけでいいんじゃないか・・・などと思って、また無口になってしまった。煮え切らないオイラに業を煮やして、彼女が積極的に・・・やわらかい・・・。

 

 

 アチャー!いいところで、ションベン行きたくなって、目が覚めた。隣では、女房殿が小さな寝息を立てていた。・・・なーんや!夢かいや!